2017年04月号 進化する糖尿病の治療
[当院からのお知らせ/医療の現場から]

あさひ総合病院 内科 福島泰男 医師
病気の治療法と治療目標は毎年のように変わっていきます。ついて行くのはなかなか大変だな~というのが私の本音です。その一例として糖尿病について見ていきましょうか。65歳以上の方に多いことから、高齢者の治療目標が2016年5月から明確になりました。血糖値が低くなる危険に加えて、認知症の程度や日常生活の自立度によって治療の目安となる1ヵ月の血糖平均値(HbA1c:%)が設定されました。低血糖症状や認知症がなく、生活活動に問題の無い方は7.0%未満となっています。治療を受けられている方で自分の目標値がよくわからない時には、かかりつけ医に相談されるとよいでしょう。
治療については、適切な食事、運動療法が非常に大切なことは間違いありませんが、2009年に新薬①(DPP-4阻害薬)が登場し、治療が一変しました。他の血糖降下薬と併用しなければ、低血糖になることは稀で、体重も増えにくいという特徴があります。血糖降下作用が日本人に有効である事から多くの方に処方されています。2015年には飲み忘れ防止のために週1回のみ服用する薬が登場し、さらに服用しやすくなっています。また、2014年には新薬②(SGLT2阻害薬)も登場し治療選択の幅が広がっています。ただ②の新薬は、血糖値を下げたり、体重を減らしたりする効果が強い反面、低血糖や脱水、感染症などを起こす副作用も起きやすいです。最近、糖尿病治療薬が変わった方はどのような薬であるのか、担当医に聞くとよいでしょう。
この記事の URL : http://hos.town.asahi.toyama.jp/index.php?u=news/genba/1704050938.html